治療して間もないのにむし歯になった

数か月前に治療をしたのに虫歯になった・・・どうしてでしょうか?

治療をしたから二度と虫歯にならないというわけではありません。

食生活、清掃状態、唾液の性質、細菌の性質と量、修復物の種類や状態などによってふたたび虫歯になる場合はあります。

しかし、治療後数か月で虫歯になるというのは治療後の状態がよっぽど悪くない限り、処置のエラーの可能性が非常に高いです。

最も考えられることは【悪いところの取り残し】です。

歯の頭の部分は、表面のエナメル質、痛みを感じ始める象牙質、神経や血管から成る歯髄の三層で構成されています。エナメル質は2mmほどの厚みしかないため、多くのむし歯処置の場合痛みを伴う象牙質まで削る必要があり麻酔が必要になります。沢山処置をされたけど麻酔はされたことがない・・・おそらく虫歯の取り残しがあります。

『削った感覚で取り残しがないことが分かる』とおっしゃる先生がいますが、神の領域です。そういう先生に限って裸眼での処置だったりします。そもそも心眼と感覚で処置をしているので拡大鏡などは必要ないのでしょうが、その場合は虫歯の取り残しがある、または健康なところまで削りすぎていると考えるのが妥当です。

悪いところが取りきれたかどうかは感覚ではわかりません。

 

う蝕検知液という便利な材料があります。削った個所に一滴落とすだけで、取り残した場所が染色されます。

その場所を染まらなくなるまで丁寧に取り除くことで、過不足なく患部を取り除くことができます。

経営コンサルティング会社などの話を聞くと『保険診療でう蝕検知液なんて丁寧な処置はしてはいけませんよ!』と言われます。

時間がかかって患者数が回せないからだそうです。そこが自由診療と保険診療の一つの境でもあるそうです。

保険診療の対価は【治療の良し悪し】ではなく、【行った処置の内容】に払われています。

丁寧な処置を時間をかけて行っても、適当な処置をして数を回しても、支払われる対価は同じです。

 

当院ではほぼすべてのむし歯処置にう蝕検知液での確認を行っています。

保険のルールの中であっても処置をすることではなく治療することにこだわり、できる限り長持ちのする処置を心がけています。