一本の歯の治療がいつまでも終わらない

一本の歯の治療に10回以上通院されている方が、時々いらっしゃいます。

多くの場合、神経の処置に時間がかかっているようです。

虫歯が大きくなり神経を犯し始めると、抜髄といって神経を取る処置が必要です。あるいは、一度神経を取っていても再感染によって再治療を行う場合があります。

合わせて根管治療といいますが、よく見えないお口の中で入り口が1mmにも満たない神経の入り口を見つけるのは結構大変です。

さらにその前に不十分な治療をされていると被せ物や土台を外す必要があり、とても肉眼でアシスタントなし、しかも他の処置と並行してできる処置ではありません。

では、難しいからといってそんなに回数がかかるものでしょうか?

土台を外したり、古い充填物を取ることに時間がかかることはあります。保険治療ではある程度数を回す必要があったり、お口を開けているのがつかれるため、数回かかることはありますが、基本的に1~3回で終わります。

神経は1本の道ではなく、木の根のように枝分かれしており、我々ができる処置は一番太い幹、又はたまたま器具が入った幹をきれいにすることだけです。

残念ながら、すべての感染部分を取り除くことはできず、取り除けない部分は清潔な状態で消毒、洗浄して、残りは生体の治癒能力で治すという流れになります。

ですので、あまり長引く治療は再感染を起こすのみで治癒には結び付きません。

正しい処置をしても痛みが引かない場合は、神経ではなく他に原因があると考えたほうがよいかと思います。

激痛を伴い、抜歯や外科処置を勧められたケースや、何度も治療を繰り返している場合でも、適切な処置をすれば大きな処置をせずに治癒することが多々あります。